感謝
桜 歩美
君がまだ6か月のとき
君の夜泣きが止まらず
私は泣きながら君を抱いて
夜中の暗く細い道路をひたすら歩いてた
このまま車にひかれてしまいたい
そんな無責任なことを考えていた
私には
障害というものを持つ私には
子育てってものがこれから延々と続くことが
このとき絶望に感じていた
たった半年で君を育てることに絶望しているのに
これから何十年も
君のことを育てるられるわけがないって
そして私の横をものすごいスピードで
一台の車が通り過ぎた
その瞬間
私は君を守るように抱きしめて
車を避けていたんだ
あ
私お母さんなんだ
そう思ったよ
君を守ろうとした自分に
私は自分でこの子を産むって決めたんじゃないかって
君を産んだ瞬間に
人間の体温ってなんて温かいんだろうって
あんなに涙したじゃないかって
あれから
もう9年
今の私には
母として生き抜く強さが備わった
君を守ること
君に正しい気持ちを教えること
君に生きるってことを教えること
私はそうすることができるようになった
そうなれたのは
小さな君の命の尊さのおかげだと思う
愛してる
これからもずっとずっと
あのとき
一緒に死ななくて
本当に良かった
君と一緒に生きていて
今こんなにもたくさんの笑みをこぼせる毎日があることに
感謝します