黒の悟り
朧月

お葬式の列は黒の人の群れ
目の淵を赤くした人の群れ

カラスが電柱にとまってみていた
身づくろいしてみていた

喪主のあいさつは涙まじりで
関係の薄い人も泣いた

いったいなににおがんでいるのか
わからないまま頭を垂れた

夕べの罪を忘れたのかと
ふいに頭の奥で声がする

後悔するような決断を
またしそうになる

お葬式がえりのこの身は
穢れといわれるが生まれ変わった気分だ

明日へもしれない我が身を想う

病んでいるなくしたくない友を想った
しなないでほしいと想った

赤黒く染まった紅葉を見ながら
しなないでほしいと想った

終る間際の人の心理を知りたいと想った

あきらめ以外の境地を
ひとめでいいからみたいと想った

お葬式の黒の群れに染まったら
自分の気持ちが静まった

いつか自分の番がきたら
静かにおくってほしいとそう想った





自由詩 黒の悟り Copyright 朧月 2009-12-13 20:12:51
notebook Home 戻る