かおる
あぐり

わたしの好きなあなたの匂いに
あなたはずっと気付くこともなく生きてきて
あなたが好きだと言ってくれたわたしの匂いに
わたしはずっと気付くことなく生きている
これからもずっとわからないままに

例えばそんな風なことでした
お互いの愛しさを知らないままで
自分を一番に疑うことがわたしたちの恋で
ありふれた感情を大切そうにしまうんですが
何度言っても言い続けてもわたしもあなただって
気付かないだろう、
気付かないでしょう
愛しいあたりまえの生活に
根付くその匂いがどれほどかぐわしいか
わたしたちは気付かないでしょう

(哀しみにわたしはもう気付けないよ)

抱き締められた瞬間
まぶたを撫でるあの匂いは
わたしとあなたの、わたしたちだけの
たった二人だけの匂いなんだって
知ってる
知ってる
知ってる
知ってるよ
それだけをたくさん吸い込んで
それいがいをたくさん吐き出して
わたしのまんなか
わたしのたったひとつのこころに
したいからしたいから
もっともっとたくさん
あなたのそばでかおっていたい





自由詩 かおる Copyright あぐり 2009-12-12 02:47:09
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