観察
山中 烏流
きみを私が羨むとき、
その周りでは
数えようも無いほどの人々が
様々な考えを巡らせていて
色々に過敏な、きみだというのに
そのときばかりはどうしても
どんな私のこえも
聞きこぼしてしまうらしい
きみの首に下げたイヤホンから
流行のロックンロール・ミュージックが
聞こえる
単純に装うほど
方向はきっと、捻れてしまうもので
綺麗な風景を描くよりも
キャンバスを叩き割ったり
筆を折ったりして過ごす方が
面白そうに思えてしまうのは
きっと、そういうことなんだろう
多くを望まない姿勢を望めば
きみは、私を嘲った
そうして
それを卑しさへと当てはめては
また、私を、を繰り返した
私は常にみられている
散り散りに遊んでしまうのは
およそ思考だけではなくて
きみを思うような、その単純も
遂には
そして、捻れるように
***
きみを私が羨むとき、
その周りでは
数えようも無いほどの人々が
様々な考えを巡らせていて
色々に過敏な、きみだというのに
そのときばかりはどうしても
私のどんなこえも
聞きこぼしてしまうらしい
きみの首に下げたイヤホンから
流行のロックンロール・ミュージックが
聞こえて
私が目を逸らした先の水面から
何かが跳ねたような音が
そして、静寂