心売りの少年
朧月
僕の心にハサミを入れて
切り売りしてみたんだ
全部並べてさ
いい心と悪い心と
どっちが売れるか試してみたんだ
よく晴れた朝に
車はない道路に
脇には見たことの無い
花が咲いていた
だれにもあるよな心の切れ端を
冬の空の下で売る一人の人間に
声かけるものなんて無いこの世界には
わかっていたけどとにかくやってみたかった
命に値段があるような気がしてた
だれのものより自分が重ければいいと
思う気持ちさえ秤にかけてみる
売れたときのことなんて考えないで
だって僕の心はいつだって自由に
生まれるって そう決めてたから
車が走り出した時刻になっても
僕の心は風に震えてた