途方へ
若原光彦
いつか
この空に
熱い虹をかけよう
お前には
手紙をあげよう
いつかお前が
書くはずだった手紙を
銃口が
火を吹くと
我々は喋りだす
いつか
この空に
熱い虹をかけよう
お前には
ソースを塗ってやろう
たっぷりと
両手には
いっぱいの日付けを乗せて
銅が
熟れて行く
みなぎれば夕暮れ
十本の指で
掴むのかね
靴底を
いつか遠い
道を轢き殺すだろう
お前も
我々も
かたくひきしぼった
あの山々さえも
ほうら
お前があがくと
宇宙がよろこぶ
いつか
人のなかに
あしたを殴る滝をおとそう
お前には
頑丈な歌をあげよう
お前が
すっぽりと入る
からっぽの歌を
視界
いっぱいの
触れられぬものを添えて