干さずに
乱太郎


陽射しが強く射している
この昼下がり
僕は
あなたに会いたくて
空を見上げています

もしかしたら
雲のじゅうたんから
悲鳴を上げながら
さかさまになって
落ちてくるかもしれない
そんな期待を抱いて

あちらこちらの家で
物干し竿に
洗濯物が
あなたの歯のように
白が目立ちます

おとなしく
落ちついた
街の雰囲気は
あなたを思い出させます

だから
あなたが
そばにいそうで

あの頃のことは
乾かさずに
いまでも
湿ったままに

僕のこころに
置きっぱなしにしてあります


自由詩 干さずに Copyright 乱太郎 2009-12-10 12:07:06
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