ひとりの温度(冬)
唐草フウ
わたしのなかの毒を 冷たい指先から
触れるものにすべてなすりつけた
その先にあるのは無機質な 温度で 少なくとも
モノであるぶんには ずいぶんあった
かぞくで暮らしているのに ひとりで食べる
テレビは、つけない
食べたくなくても 口に入れる
母が 寝込むと 折れそうになるけど
ひとりの れんしゅう
れんしゅう、する
冷たさからは 毒が出ない
もっているものが 減っているから
君からの一報は とてもとてもうれしかったよ
何を見ても 感情がわいてしまうよ
手はこんなに冷たいのに
どうしようもなく