二度とは口にせずにいた
吉岡ペペロ
足もとのカラスは飛び去らなかった
朝のホテル街をふたりで歩いた
いいのに、でも、ありがとう、
女を駅まで送っていた
ぼくらはたとえ話のなかを生きている
これは、なにかの、寓話なのかしら、
あのとき聞き返したけれど
女は二度とは口にせずにいた
過ぎてゆく今は
なぜ後戻りしてくれないのだろう
自由詩
二度とは口にせずにいた
Copyright
吉岡ペペロ
2009-12-07 15:40:48