廃村の川
朧月
反発だけして時が過ぎ
なにか変わってしまったのかと
確かめたくて戻ってみた
私が出て行きたかった場所へ
母は老いて変わらず
村は古びて変わらず
人の目が変わらなく見えるのは
私が変わっていないから
そのままの木 そのままの屋根
大事におもった広場さえも
変わっていないことがうれしいのか
悲しいのか わからない気がするけれど
この安らぐ気持ちのままに
足をつける 冷たいに決まってる川に
同じ場所にある大岩に
おんなじだよなとつぶやけば
お前は変わったのかと聞かれたように
風が一瞬強く吹きつけた
見上げれば燃えるような紅葉の葉が
憎しみをたきつけるように揺れていた