朝の街
吉岡ペペロ

黒い河の向こうを

電車の明かりが渡ってゆく

あと6時間もすれば

この街は放射冷却で煙れるだろう

置き去りにしたのは

ぼくの心、それともきみの心のほうなのか

あの電車の明かりのなかに

ぼくかきみかのどちらかがいる

大人なのにふたりで真夜中に鬼ごっこ

きみはすねていたし

ぼくは取り繕おうとしていた

からだを合わすときだけ

命や過去も捨てるようなこと言って

この街角で繰り返される別れを

ふたりでひとつ増やしただけなのか

黒い河の向こうを

電車の明かりが渡ってゆく

あと6時間もすれば

朝がなにもかも白くさせるだろう


自由詩 朝の街 Copyright 吉岡ペペロ 2009-11-30 22:53:42
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