朝の街
吉岡ペペロ
黒い河の向こうを
電車の明かりが渡ってゆく
あと6時間もすれば
この街は放射冷却で煙れるだろう
置き去りにしたのは
ぼくの心、それともきみの心のほうなのか
あの電車の明かりのなかに
ぼくかきみかのどちらかがいる
大人なのにふたりで真夜中に鬼ごっこ
きみはすねていたし
ぼくは取り繕おうとしていた
からだを合わすときだけ
命や過去も捨てるようなこと言って
この街角で繰り返される別れを
ふたりでひとつ増やしただけなのか
黒い河の向こうを
電車の明かりが渡ってゆく
あと6時間もすれば
朝がなにもかも白くさせるだろう