どぶねずみ
……とある蛙

微笑む君に
そこにいるもの皆魅了された、

君の言葉は
柔らかな光りに
反射して銀色のモビールのように
中空をキラキラ漂い

君のまなざしは
柔らかな光を讃えて
その場にある
生きるものすべてに注がれ

君の抱擁は
柔らかな光を束ね
その場にいる悩むものすべてのものを
巻き込んで包み込み

君の吐息は
柔らかな香りをもって
その場にいるすべての絶望するものに
息吹を与える。

しかし、君から何も掬い取れなかったものは
悪しきドブネズミに変形し
側溝のどぶの中で
あるものは口汚くののしり
あるものは腐臭を撒き散らし
あるものは君の踵に噛み付こうと狙っていた。

君は何の防備も無く彼らを
抱き締めようとしたが
彼らに噛み付かれ、彼らの腐臭をを吸い込み
彼らの罵りを耳に入れてしまい
そのまま彼らと一緒に腐り始めてしまった。

泣き言を言い出した君は
かつての光を失い
かつての香りを失い
かつての言葉を失った。

だから
僕は今
うちなるドブネズミを駆除しようと企てている。


自由詩 どぶねずみ Copyright ……とある蛙 2009-11-30 10:03:27
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