眠りによせて
瀬崎 虎彦
寝入りばな
夜の船に乗って
黒く澄む空を
たゆたっていた
静謐なガラスの船は
住むもののない水底の
果てない深さを
ギラリギラリと見せた
こわいよと口に出す
まだ眠りに落ちてはいない
だからこの水に触れてはいけない
こわいのと聞き返す
まだ意識が咲かぬつぼみのように
その日の記憶に宙吊り
自由詩
眠りによせて
Copyright
瀬崎 虎彦
2009-11-28 21:34:11