秋括る菊理姫
海里

ささやかれた一言は
言挙げされたその内容は
隠されたまま永遠に失われました

秋括る菊理姫は以来
ずっと口を閉ざしたまま

幾恒河砂の
森の木の葉の
とあるひとひらが
水面か土かアスファルト

舞い降りて触れてかさりとひとつぶ
呟かれ囁かれたそのささやきなどに
そっと耳を澄ませ続けています

きく科の花は筒状花
うさぎの耳のように細長い花のひとつひとつが集まって
パラボラのような形をつくっているものです


自由詩 秋括る菊理姫 Copyright 海里 2009-11-28 01:38:59
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