石に芽吹く花
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その石はまるで子宮のように
あの日 交わったときから
じっと守り続けた
ゆだるような潮風からも
氷点下の吹雪からも
じっと路傍で待ち続けた
ただじっと砕かれる日を
穿たれる時を
自らが失はれることを知りながら
通り過ぎてゆくのを無言で数え
命なき自分を母とした種子に
じっと温もりを与え続けた
生命の跳躍を愛でる季節とともに
芽吹いた名も知らぬ野花は
誰に誇ることもなく
傍らに色を附している
自由詩
石に芽吹く花
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2009-11-27 15:16:29
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