価値観と舞台
中原 那由多
好きなものを嫌いになろうとしながら
他に脱出法がないのかと考えてみる
しかしあくまでそれに固執することで
鎖が外れるのではという可能性も信じている
損得勘定に身を委ねてみたいのに
犯人が残したメールを疑えないでいる
小さな器に深さを求めることが
私の器の小ささを暗示している
台詞に大した意味はなく
楽しむだけの共有物
一線を越えた位置にあったとしても
放置され、やがて無視されてしまう
常に最悪の展開を追求し
どこかに綻びを見つけることで
自分自身を正当化する
誰かが犠牲にならなくてはいけないのなら
せめてシュレディンガーの猫でいさせてほしい
混沌の中を進んで行くと
目の前に白い砂漠が広がった
大の字に寝転んで目を閉じれば
マトリョーシカになれる気がしている