遠い昔の居場所
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めにみえないほど
ちいさなつぶだったのに
かぜにふかれて
まいあがるきりゅうにみちびかれて
のぼっていくと
だんだんなかまがあつまって
いつのまにか
かたまりになり
とてもたかいところから
ちじょうをながめて
ただよっていた

たくさんのなかまにかこまれて
とりやけものやひとのかおや
もじにさえなって
せなかからはひかりがさしていて
いつもしあわせなきぶんで
それがあたりまえだった

それなのになかまとはちがう
ちょっとしおっぽいにおいがした

じっとめをこらすと
おとこのこがひとりたっていて
うつむいて
めを
てでおさえて
こえをだすのも
こらえているようで
とてもつらそうで
そのにおいは
おとこのこからただよっていた

きになってきになって
ひっしによびかけた
どうしたんだい
どうしてひとりでたっているの
なかまはいないのかい

でもこえはとどかなくて
するとからだが
とどかないことばがふりつもるように
おもくなってきて

さびたじゃんぐるじむ
かべにぬりたくられたぺんき
ひふしょくせいのてっとう
はりめぐらせれたこうあつせん
かたむきかけたもくぞうかおく
かびのはえたはかいし
はぎとられてはぬりなおされるどうろ
いっぽうつうこうのひょうしき
けむりのたちのぼるごみしょうきゃくろ

をとおりぬけて
しだいにくろくなり
はいいろになっておちていったら
もうそのころには
しずくとなり
かぜのないちじょうへむかって
まっすぐにおちていった

そのさきには
あのおとこのこが
まだたっていて
つめたくひえたほおに
おちた

そしてあのにおいの
しょうたいを
しった

しらないことばだった
あおいうみが
おしえてくれた
なみだっていうらしい
かなしみが
じょうはつした


自由詩 遠い昔の居場所 Copyright within 2009-11-25 19:44:03
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