アラスカ行きの約束
吉岡ペペロ

まだぼくが幼かったころ
不倫あいてに
星野道夫の旅をする木を読んであげていたことがある
あいてはそのまま眠りたかったに違いない
まだぼくは幼かったから
からだをいたわるふりをして
あいてに反応をつくりだそうとやっきになっていた

うすめたみずのりがあらわれると
あいてはぼくをそこに入れてしまおうとした
まだ幼かったぼくでも
そのリスクは分かっていたから
指だけでイカセヨウとやっきになっていた
あいてがかるくたっすると
みずのりがびしゃびしゃにかわった
ひらべったい泪のようだった

ゴムをつけてあいてに入れる
あいてもぼくもため息をはく
まだぼくは幼かったから
せつない約束をしながらあばれた
いつか、アラスカに、一緒に、いこな、
あいてにもおなじ言葉を言わせた
いつか、
アラスカに、
一緒に、
いこな、
あいての耳にかぶりついて
いつか、アラスカに、一緒に、いこな、

いつか、
アラスカに、
いつか、アラスカに、一緒に、いこな、
一緒に、
いこな、
いつか、
いつか、アラスカに、一緒に、いこな、

アラスカに、
一緒に、
いつか、アラスカに、
一緒に、いこな、
いこな、
いつか、
アラスカに、
一緒に、いつか、アラスカに、一緒に、

いこな、一緒に、いく、アラスカに、いこな、いく、いく、
いこな、いこな、いく、いこな、い、

いく、いこな、いく、いこな、いくいくこ、く、なくいく、ないくいくいくいくア、ラ、いこな、一緒いっ、いっしょ、一緒っ、ア、

ア、いこな、いくいく、こなくい、いっしょっ、く、いっしょに、な、く、いくいくいく、いっしょ、いっ、い、いっ、く、くいくイクイクイクイク
まだぼくは幼かったから
どうじに果てたら不倫は罪ではないと知っていた


自由詩 アラスカ行きの約束 Copyright 吉岡ペペロ 2009-11-24 23:45:27
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