あたたかい飲み物
瀬崎 虎彦
肺病病みの男と
肺病病みの女が
みすぼらしい格好で
冬の道の真ん中にいる
男は希望に絶望し
女は絶望に希望し
ふたりはディーゼルエンジンの
煤で汚れた街路樹の陰に入る
何もほしいものは無い ただ
誰かが僕たちの貧しさを
哀れんでくれるのなら
湯気を立てて抽出される
琥珀色の紅茶を一杯
ご馳走してくれないか
自由詩
あたたかい飲み物
Copyright
瀬崎 虎彦
2009-11-24 02:39:16