人柱
森の猫
母とあたし
妹ふたりは
連休を利用して
パンフレットでは
値段の割りに
妙に大きな部屋の
あるリゾート施設を
予約した
広い庭を通り抜けて
通された
部屋は大広間のよう
係員はほらと
こうやって
お部屋は区切れます
気がつくと
そこには
祭壇のような飾り物と
違う団体の
人々がたくさん
なぜあなたたちは
この部屋へ?
私たちは一部屋の予約ですよ
母は言った
部屋を区切ろうとしても
なかなか
その団体はうだうだと
移動しようともしない
あたしたちは頭にきて
フロントに行きます!
と、部屋を出た
アウト!
あたしたちは
フロントに通される間もなく
拉致されていた
そこはある強大な団体の施設
だったのだ
母は捕らわれた
あたしとふたりの妹は逃げた
出口に向かって
逃げて!
ふたりの妹は散った
あたしは若い娘達の踊りの
集団に入れられていた
人工の湖にかかる
大きなキレイな橋
妙な形
将軍様の強大な力の象徴・・・
よく見ると
ひとつひとつが娘の形で座っている
あたしは抵抗した
キラッ
目の前に光がさし
体が硬直した
意識のあるまま
娘達の集団の一番前に
押しやられた
座らされる
漆喰のようなものを塗られる
4人一組で
同じように橋の礎にされていく
他の娘たちは民族衣装で
着飾り 歓喜しながら
抱き合って泣いている
嬉なみだか
悲嘆の涙にも見える
いづれにしても
もう観念している様子だ
整然と並んでいる
あたしは力をふりしぼり
体を倒して
水の中に落ちた
また 引き戻され
頭から塗られる
熱いものを押し当てられる
の繰り返し
あたしは生きている
だれか・・・
必死に念じ続ける
そう思ったとき
目の前に
彼とその友人が現れた
あたしのことに気づき疑いの目で
覗き込んだ
あたし 生きている!
助けて!
声にならない声で叫んだ
おぉ!!!
あたしは助かった
・・・・残った娘達は今・・・
その団体は法の目をかいくぐり
未だ存在している