見知らぬ他人との処世術
snowworks

向かいのあの人は何考えているんだろう

19歳で田舎から来た僕は山手線で向かいに座るOLが何を考えているか考えていた

そして33歳になった今

同じことを同じ山手線上で考えている

特に美人というわけでもなく

歳は30歳ぐらいで普通のOLが

午後1時33分の陽光を浴びながら

一体何を考えているのか

2人の人間が2.5m離れた距離で

向かい合い

都合上表面上は無関心で

しかし視線は車窓とか広告とか

まるで思考が視線に絡みついているフリだけは上手で

存在について考えさせられる

一定の距離を保ったままの

緩い平行線を描いていく2点

google earthに時間要素があれば

上空から認識できたはずで

あっちの彼女、そこんとこ分かっているだろうか

僕は視線を週刊誌広告において

この14年何も変わっていないな

3年周期で生まれ変わるはずの細胞達は怠け者だな

彼女が新橋で降りた


自由詩 見知らぬ他人との処世術 Copyright snowworks 2009-11-22 23:16:56
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