言の葉の軽重
松本 卓也

携帯電話を所在なげに弄りながら
待っていることがあります
至極どうでもいい話題に
途轍もなく軽々しい返答を
返してもらいたいだけなのです

想いが重いなどという
性質の悪い冗句を口にしては
目の前を横切っていった人々
時間のフィルタを通しながら見つめる

笑っていたのかもしれない
嗤っていたのかもしれない

嘗ても今も変わらない
日本語が不自由な唐変木
決まり文句など用意していないから
冗談の延長で済ませるつもり

工夫も技巧も置いてけぼりの
現在進行形のやり取りの中では
こんな軽々しい話題にさえ
重さが伴うというのだろうか

久方ぶりの恋愛模様は
幾度と無く繰り返した拙さと
数少ない成功例を引き合いに
ほんの少し楽しみながら

僕はただ貴女から
真心の篭った言葉を
唯一つでも頂けたら
そう願うのです


自由詩 言の葉の軽重 Copyright 松本 卓也 2009-11-20 23:06:33
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