麦のストロー
yo-yo

風になって
笛の音階をたどる
わた雲を飛ばしたり
しゃぼん玉を吹いたり
ストローは麦わら
吸いこめば体の芯が暖色に染まる
祖母のジュース
渋柿も老いた手の魔術によって
とろとろに熟成され
甘い管をとおる


小さく丸くなって
背中ばかりが寒くて
なかなか笛になれない
手のひらは焚火のにおい
父は日向(ひなた)のにおい
母は果実のにおい
みんなとろとろになって
秋は小さな家族
ぼくは麦のストローで
ひそかに金魚とキスをする






自由詩 麦のストロー Copyright yo-yo 2009-11-20 12:39:11
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