独白二篇
笠原 ちひろ
*
*
電車をおりたら、正しい冬の予感がした
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂いが冬の匂いで
あたしはとっても幸せだ
今年の冬はシチューのCMみたいな
正しい冬の予感がする
客観的にみればいつもの冬と同じように
いいこともあればわるいこともある
ひとつ違うのは
わたしがわたしに
「幸せでいていい」ときっぱり許可をだしたことだ
覚えの悪い犬を相手にするみたいに
根気よく教えこんだんだ
幸せでいていい
幸せでいていい
幸せを感じる権利がある
たとえどんな状況にいたって
幸せを感じる権利がある
幸せでいていい
幸せでいていい
冬の匂いが冬の匂いで
あたしは
とっても
幸せだ!
*
*
完璧であらねばと
自力で
完璧にならねばと
思い込んで
なれなくて
いろんなことを
横目でみながら
なにもできなくてじっとしてた
けど
もはや
及び腰は
お呼びじゃなくて
勇み足で
たんたかたんたん
ステップ
踏んで
じゃんじゃかじゃんじゃん
人目にさらす
なにをって
あたしを
生きる
から
さ!
*
*
*