かたつむり
小原あき
大根の葉っぱにくっついていた
かたつむりが
ひこうきぐもは
そらをきる
わたしはてらてら
ちじょうをぬう
さいほうばこを
もってこい
よいしょよいしょと
ぬってやる
ひこうきぐもが
ぷっつりと
あのそらきって
いくかぎり
わたしはちじょうを
ぬってやる
てらてらひかる
ぎんいろの
わたしのあしあと
あのそらの
ひこうきぐもに
そっくりだ
と詠っていたので
静かに「ちじょう」に
降ろしてやった
触覚をピンと伸ばして
なんだか偉そうに歩く
いや、
ぬっていく
大根の葉っぱは
穴だらけにしたまま
彼女はてらてら
ちじょうをぬっていく