愛を伝えるのに言葉はいらない
ルナ
漁村の朝は早い
6時にもなると御丁寧に
町の中心に置かれているスピーカーが
朝を知らせるサイレンを叫ぶ
二階の窓から見える風景は
殺風景な野原の向こうに
海が見える
野原と海が半々といったところか
サイレンの前に目は覚めてはいるが
それまでは布団の中で
まったりしている
この一時が好きだ
そして
サイレンと共にカーテンを開け
海を眺める
ほっとする
今日も朝が来たんだ
嵐の夜に外を見ると
灯りなど星の一つもないはずなのに
うねる水面に
白い大群が
次々にやって来るのが見える
それは怖い
とても怖いんだ
私から何もかも
奪っていきそうで
そっと溢れだすのは
見えない涙
抱きたくても抱けない
切ない力
素直になれない
か弱い心
星のない夜空に
光が見えなくても
雲の向こうには
星があるって
そして必ず朝が来るって
ひとりでがんばれると
強がる私の背中を
見えない手が支えている
かけがえのない
あなた
断片的に浮かぶ気持ち
届けたい
ひとつひとつ
繋いで
あなたまで届けたい
それでも
守りたいもの
大切なもの
優しさ
愛の意味
全部教えてくれた
あなた
洗いたてのブラウスに
袖を通して
今日も1日が始まる