きみだけの
あぐり





言葉の降らない日々でも
きみに痛々しい愛(のようなもの)だけを送りつける
ぼくの先端から零れていく赤い信号が
次々と毛布にシミをつくるんだけど
乾いた風に投げ出してしまえばそれは
はらはらと泣き出しそうな欠片になって
夏の空いっぱいに散りばめられた、もう

ゆがんだ爪先
くすんだ指先
それら ぼくのとがる先端に
くちびるをあてこする意味のない日々では
女の子であるという
わたしの影はぼくのシミでしかなくて
誰にも善くない恋を叫ぶ咽をどうか
絞めて。
そうして漏れてきた低い声を
ぼくの瞳にはりつけていくの
金色にひかっている
夏の夜
指にこびりつく青は毒ですごめんなさい

明日があるんだと言う
朝焼けに夏はかがやいたと泣く
ぼくの先端から広がる海にきみを溺れさすの
良いから
もう 良いから
この身体を絞めて
そうして搾られた純粋なはずの愛を
きみにあげたい

いつかは笑うんだと
囁いたぼくの
せいいっぱいの恋を
翳して泳いでほしい
きみが眠る夜を浸して、染めたなら
ああもう良いから
良いから
大丈夫なんだ
わたしはもう
きみだけのものになりたい
きみだけの
愛してるになりたい






自由詩 きみだけの Copyright あぐり 2009-11-16 23:45:10
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