幸福論。
aokage


学校の帰りに、風の音に耳を澄ませる。
街の喧騒も、誰かの話し声も、全てがどこか遠い。
肌を撫ぜる風が愛しくて、空を仰いだ。
昼と夜の間。青と朱が交じる。
雲は、一つも浮かんでいない。
太陽と月が、同居している。

陽と陰の狭間の時間。

こんな時、大気の唄は聞こえてくる。

私の幸せは、此の世界に生まれた事。
此の世界に、生きているという事。
呼吸ができるという事。
風を感じるという事。
暖かいと感じられる事。
寒いと感じられる事。
自分が幸せだと、感じることができる事。
私には、ヒトが争う理由が解らない。
ヒトが傷付け合う意味が、解らない。
私達は、既に幸せを手にしているのに。
私達は、此の世界に生まれたのに。
何を恐れているのだろう。
争いを生んでまで守りたいものとは、何なのだろう。
私達は、いつも全てを共有しているのに。
何故、壊してしまうのだろう…。

今この時も、何処かで誰かが泣いている。

何処かで誰かが、苦しんでいるのだ……。





自由詩 幸福論。 Copyright aokage 2009-11-15 16:55:11
notebook Home