硬度7
瀬崎 虎彦

展翅板の上で傾き涙する
輪郭を曖昧にして夜が散る
群像はインフラストラクチャーという
都市の臓物をめぐり来てめぐり行く

雨が降る頃には清冽な印象で
舶来のオルゴヲルが英雄を奏で
苦味の残る口の中に
ヘエゼルナッツの砂糖菓子を放り込む

毀誉褒貶が明けて
空は淫らな陽物に刺し貫かれる
気品など失って経済は始まり

美徳はモデルなしには発動せず
大革命以来の家族の混乱を尻目に
見上げる空が東京の空だ


自由詩 硬度7 Copyright 瀬崎 虎彦 2009-11-15 12:52:28
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