ささくれる
タマムシ

秋がささくれて冬になる

きっと もう
と、つぶやいているときでさえ
確実に近づいてくるものと そして
確かに遠ざかってゆくものとの あいだで
音もなく消えてゆく そのときのわたしをどうか
忘れないでいられたらと 祈りたくなる
それは はかない願いであることを
自覚することの淋しさに

ささくれる
弱いこころは似ている

そんな季節のうつろいの中で
静かに消えてゆく いつかの景色のように
痩せた色 そして

同じように痩せた指の
ささくれのいたみに

わたしは じっと耐えている
  


自由詩 ささくれる Copyright タマムシ 2009-11-15 03:31:54
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