春告げ鳥
三奈


ひとつふたつ 手鞠唄
縁側に咲く 寒椿

すべてはあの六花の如く
儚く消える運命だと

俯き顔の君が言った
膝の上には銀色の猫

尾を高くあげ、するりと寄り添う
混沌の中にいる君に
その温もりは届くのだろうか

ひとつふたつ 手鞠唄
通りで遊ぶ 子供が歌う

君は小さく咳をして
私は大きく眉をひそめた

六花よ どうか教えておくれ
春告げ鳥は 今何処

混沌の中にいる君の
春告げ鳥は 今何処

すぐそこまで来ているなら
早く来いよ、と手まねきをしてよ

君が声をなくす前に
桜の季節 運んでおくれ





自由詩 春告げ鳥 Copyright 三奈 2009-11-15 01:30:51
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