彼女たちの生き方
涙(ルイ)

不眠症のユウコは今夜も眠剤でトリップ中 
潔癖症のさなえは皮が剥けるほど手を洗い続けてる
マユミは食べることを抑えられなくて
愛を1万円分の食料に換えてみたが
埋まらない淋しさと後悔で今日もトイレで吐き続けてる
みゆきは男に振られるたびに自殺未遂を繰り返す
生きてても意味がないのよとためらい傷だらけの左手首が自嘲ってる
虚言癖のエミリは 付き合ってもいない男の話を
それでも幸せそうにしゃべってる
買い物依存症のかずみは プラダやエルメスに埋もれながら
むなしさと膨れ上がる借金に打ち震えていた



薬をちょうだい
いますぐに眠れる強い薬を
この街で生きていくには
それなりの覚悟が必要で
それは解りきっているのだけれど
忘れさせてくれない過去が
いつまでも私の後をついてくるのよ
ねえ お願い
はやく薬をちょうだい



どこにも居場所がないのよ
どこにいても発狂しそうなの
苦しいのよ
今すぐにでも逃げ出してしまいたいの
誰かにすがって思いっきり泣いてみたいとも思うわ
だけどそんなことは無理に決まってるし
誰だって自分の人生でいっぱいいっぱいなんだし
他人に関ってる余裕なんか
きっとホントないのはわかってるし
だから誰もそれを許したりはしないでしょう



自分を守るのは結局は自分自身で
だから体を痛めつけるのも傷つけるのも
なんの得にもならないようなうそばかりついてしまうのも
みんなみんな 自分を守るための処世術なのよ
こんな私たちを 
世間一般では 狂ってるってことになるんでしょうね



理解なんて求めちゃいないのよ
どうせ誰もわかりっこないんだし
こんな私だって
世の中の人が何を考えてるのか
さっぱりわからないわ
だから誰も責める権利なんて
私にはないのよ
ああ だけど 
そんなふうに避けなくったっていいじゃない
そんなふうに睨まなくたっていいじゃない
わがままかもしれない
自分は何もしないくせに
相手にばかり求めてしまうのは
やっぱり勝手過ぎるわよね



一体どうすればうまく生きられるのかしら
どうしたらうまく笑うことができるのかしら
別に死にたいってわけじゃないのよ
ただ生きているのもしんどいだけ



何も狂ってなんかいないのよ
こうしなきゃ生きていけないだけ
自分を罰することでしか
生きてる実感が持てないだけなのよ
今そこで私の話を聞いてるあなたにだって
人には云わないだけで
人知れず涙を流したり
お酒でも飲まなきゃやってられないって日があるでしょ
誓っていうわ
私は決して
決して狂ってなんかいないのよ





午前2時25分
今夜も眠れそうにないわ


自由詩 彼女たちの生き方 Copyright 涙(ルイ) 2009-11-13 17:27:50
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