彼方の君
朧月

空に憂いをうたい
こんな風にこんな風に
雨に涙を想い
そんなことでそんなことで
歩けないような息ができないような
か細いことが美しいとおもってしまふ

君と僕らはどこが違うか

海の波を
誘われていると感じなければだめか
君が問ふ

風が髪をさらう
少し泣く
私の毎日は
積もった埃を丁寧に丁寧にふき取るような
そんな作業の繰り返し

星はなにの生まれ変わりだとおもふ?
君がまた問う

フライパンを持つ手をとめて
ベランダへ歩み寄れば
まるでおサイフには何十枚ものお札がはいった人みたいに
優雅な表情の君がいた

私の毎日が
どこまでいっても軽やかになれないように
あなたの一秒が
どんなときでも晴れることがないことを
また 知る

苦しみの元を抱える君よ
眠るときでさえ苦悩の眉間に
そっと指をはわせ私にうつせよと
あふれくる涙を君に落とさないように
泣く



自由詩 彼方の君 Copyright 朧月 2009-11-13 10:08:21
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