東京のふゆの風
吉岡ペペロ
小学三年までと二十代後半を東京で暮らした
いまも出張で月にいちどは東京にゆく
きょうは機械の立ち合いで東京だった
加工テストが順調だったので
そこの社長に言ってちょっと散歩に出る
狭い道に風が吹いていた
東京のふゆの風だな、
郷愁を幻視しているのかも知れない
もうここに暮らすことのないじぶんを
柔らかでつめたい風が暖めていた
ひとつ淋しさに浮かれてみようか
東京のふゆの風をしばらく歩いた
ひとつ淋しさに浮かれてみようか
自由詩
東京のふゆの風
Copyright
吉岡ペペロ
2009-11-12 23:11:54