夕陽の妖精
草野大悟

妻が ショートステイで病院に行って三日目
風呂上がりにひとり ビールをのみながら
幼なじみの山に沈もうとしている夕陽を
パンジーやビオラやパキラやテーブルヤシたちと一緒に眺めている


窓から刑務所の塀が見える

風がびゅーびゅー吹いている

桜は葉を散らし裸になった

旅人の木が泣いている


鉛色の空
ミルキーブルーのわずかな雲間からとびだす 夕陽の妖精
ほほえんだ前歯が
はじめて会ったあの日のように
ヴァーミリオンに輝いている


自由詩 夕陽の妖精 Copyright 草野大悟 2009-11-12 00:48:26
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