帰省
朧月

あなたに優しくできない私が
あなたの子供なんです

後姿老いましたね おかあさん
何度も思い直す行く道で
せめて逆らわない
怒らない おさえて おさえて と

窓の景色が流れるのを
ぼんやり見ながら
遡る意識は
あの日の光景

なぜ私を叩いたの
私がなぜ 叩かれたの

プシュウと音がして電車はとまり
流されるまま 私も降りる

何度歩いてみてもこの道は
悲しいような 切ないような
電柱さえもなにか背負って見える

田んぼをいくつか越えた場所に
たってるその家が どこか
息をしてるように見えるのは
私が 少しどきどきしてるから

だいじょうぶ 私 こどもじゃない
母を 追い越した身長で つぶやく



自由詩 帰省 Copyright 朧月 2009-11-11 15:56:12
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