麻薬売りの女の子
なかがわひろか

麻薬売りの女の子に道を尋ねた
明日に行くにはどうすりゃいい
麻薬売りの女の子は答えた
これを煎じて飲みなよ

僕は彼女にもらったものを
すり鉢で煎じてお湯に淹れて飲んだ
苦くて液体中に飽和したそれは
なかなか僕の中に入ってきやしなかった

しばらくすると僕は一人でに歩き出していて
歩を止めようとしても
僕の足は勝手にそちらに向かっていて
僕は足が赴くままにするしかなかった

やがて足は止まり
また麻薬売りの女の子と出会った
彼女は僕を一瞥すると
また僕に新しいものをくれた

僕は苦いのを我慢して
再び足は勝手に歩き出して
僕はまたそちらへ向かう
そしてそこには麻薬売りの女の子

僕は明日に行きたいだけなんだ
だけど僕の口はもう言葉を発することはできなかった
女の子はまた僕に渡す
僕は煎じて飲む

苦い

(「麻薬売りの女の子」)



自由詩 麻薬売りの女の子 Copyright なかがわひろか 2009-11-11 02:44:32
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