引っ越し
衛実

4日の日に
上の階の人が引っ越すらしい

4日といえば
わたしは健康診断の日だ

わたしがお腹やら喉やら
胃腸のはたらき具合なんかを
ぐるぐる調べられている時分に
かれらは荷物をくくって
知らないところへ行ってしまうのだ
まるで交流なんてなかったけれど
居ないは居ないで
変な気分になるのだろう

ベッドに寝っ転がって
天井を見上げた
夜遅くまでガタガタ動いていた
洗濯機の音や
朝早くからブツブツ聞こえる
ニュースの声
なんかまでも
懐かしくなったりするのだろうか

(あしもとの方がぼんやり浮き上がってくる感じ。
 幽体離脱ってちょうどこういう感じ?)

窓の外から
刺すような雨ふりの音がする
明日の朝まで降りどおしになるらしい
マンションの最上階は空っぽになって
わたしの一番上にある器官も
少しだけ空になる


自由詩 引っ越し Copyright 衛実 2009-11-08 23:58:40
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