波まくら
蠍星

見わたすかぎり
あおあおと
海原
さみしげに
小舟が一艘

のどがかわいて
哀しくなった

水はこんなにあるじゃあないか

いのちによく似た絶望が
きらきらと
世界の途切れるあたりで
蒼空にとけ
まじりあう

雨はきょうも降らない

凪いだみなもに
あてもなく櫂をすべらす

ひびわれた
ワイン・グラスに
いっぱいの

涙は海とおなじにおいで
舌でふれれば
ぴりりと鹹い







自由詩 波まくら Copyright 蠍星 2009-11-08 22:48:48
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