いち
深海のエントランスがここにある(キスは壊れた鍵音がする)
ニセモノをニセモノとして愛しなさい 商店街は長すぎるけど
足元を見ながらいきてくしかなくて移動性高気圧をかかえる
かちゃかちゃときみはわらって陽のなかの一円硬貨のひかりのように
あやふやに解ける絆 街灯が痛くて目深にフードをかぶる
に
きみの打つ潔癖な鋲がやわらかくわたしの座標を固定している
回送の市バスをジャックしてみてもとまりますボタンはひかりつづける
グロテスクに壊れた部分を擦りあうあなたの希望に沿ったかたちで
錠剤は色とりどりだが君にとってすべて致死量の毒を秘めている
どうしても愛しい気持ちがくるしくてビニール傘はめちゃくちゃになる
さん
チアノーゼ、チアノーゼ、チアノーゼ、チアノーゼ 先端が触れるまえに攫って
せっくすは手触りがないね 匿名のタロウとハナコのような心中
高架線/燃える影/冬/閉じた傷/此処から始めるペレストロイカ
これいじょうてもちのことばがたりなくて身投げのように手折るこの茎
アラームを両手でくるむ 行くあてもないのにだれにいのっているの
よん
裸にはサランラップをまきつけて100パーつたわる恋を夢見る
色彩は尖ったままで ブレーキを緩めるための口実にする
一箱分ティッシュをちぎって羽にする 飛ばないためのやさしい殺意
顔面のない肖像画 この街は私の知らない人のいる街
散らかったのではなく散らかしている でもこの一輪は造花ではない
誤
遺書なので直射日光のあたらない涼しいところで保管ください
大人って死にぞこないの子どもでしょ?錆びたブランコ軋ませわらう
日溜まりで青の絵の具は乾涸びて乾涸びてもう会うことはない
毎日は密閉の箱 とっかえのきかないところがすり減っていく
反抗期は死ぬまでつづける 執拗に電信柱ローキックしながら