うえん
影山影司

 眠れない夜が明け
 笑えない朝が始り
 下らない昼が過ぎ
 眠れない夜が来る

 路傍の石を撫でる市民が月を指差して
 あぁもまるいと下らないと哂い
 居場所をなくしたように感じる

 眠れない夜が来る
 眠りたくない夜が来る
 貨物車両の軋み
 野犬のうろつく足音
 雲の流れる音

 月のレールは今日も歪み無く
 だえんを描いて空を渡る

 消えた月は
 ピンボールゲームに注いだコインのように
 音も無く暗闇に滑り込んで
 賑やかで明るい昼を始めるのか


自由詩 うえん Copyright 影山影司 2009-11-07 06:46:48
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