それでも朝はやって来る
邦秋

僕らが地球にいる限り
必ず朝はやって来る
人の心は無視をして、
勝手に朝はやって来る。

だけれど僕らは厄介な
感情抱えて生きるから
無であるはずの朝にさえ、
その日の気分を映し出す。


待ち望んでいた答を待った
夜も眠れず待ち続けていた
「次目覚めれば道が拓ける」、
そうして朝はやって来る。

積み重ねてきた自分を魅せる
夢に描いた姿が現る
幕が開く時が来た、と、
そうして朝はやって来る。


言葉をもって傷つけられた
人に会いたくないと思った
このまま夜が続けばいいのに、
それでも朝はやって来る。

深夜街のまだらな光に
眠りを忘れた人たちがいて
減らせぬ紙山と格闘すれど、
それでも朝はやって来る。


凍える体を守れない
雪山の中で陽(ひ)を求め
間に合わずして固まっても、
遅れて、朝はやって来る。


独りで過ごした淋しさの後
再会を喜ぶ二人で過ごす
夜のベッドはとても温かい、
その後、朝はやって来る。

二人で過ごした幸せの後
旅立つ君を忘れずにいる
僕の隣には誰もいない、
その後、朝はやって来る。


僕らが地球にいる限り
必ず朝はやって来る
人の心は無視をして、
勝手に朝はやって来る。

だけれど僕らは厄介な
感情抱えて生きるから
朝に喜びを見出して、
朝に哀しみを見出して。


自由詩 それでも朝はやって来る Copyright 邦秋 2009-11-07 00:08:54
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