キーウイ
蠍星

ぼくはいま立っている
かなしく縮んだみじかい羽を抱え

忘れてしまったのだ
とうのむかしに
空をゆく彼らは
かつてはぼくの隣にいたはずだが

大自然の
そのてのひらの
甘やかすままに
ぼくはほうけた顔をして
たとえば
飛び立ってみようとか
そんなことは考えもせず

そうしてただ
土を見つめ
草をついばむうち
ふと
からだが痛んだので
ひさしぶりにひろげた羽は
ながい時間の
浪費の代償に

ぼくはいま立っている
いったいいつから
こんなすがたになったのか
きのうからか
生まれる前からか

かなしく縮んだみじかい羽を抱え
ビーズのようなひとみと
からだじゅう
土の色に染まり
ふしあわせとも感じずに

ぼくはいま立っている
かなしく縮んだみじかい羽を抱え



自由詩 キーウイ Copyright 蠍星 2009-11-04 16:28:30
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