忘れ物
Kazu.

ときになにか
とんでもない忘れ物をしてきてしまった
という不安に駆られることはありませんか?
今朝 出掛けにストーブの火をきちんと消しましたか
妻に見られたらただではすまないメールも消しましたか
といった類いのことではなくて
もっと遠い日の そしてとてもかなしい
例えば小学校の時の集合写真の中に
一人だけ名前を思い出せない顔を見つけたときの
あの心の深いところが酸っぱくなるような
そんな忘れ物のことです

おもえば生まれてこのかた
いつもなにか忘れ物を捜してきたような毎日でした
でもそれがなんだったのか
一度だって思い出されたためしなんてなかったけれど

もしもし もしもし
どなたかわたしの忘れ物をご存じありませんか?
とても大切で
からだじゅうが酸っぱくなるほどかなしい
わたし自身が忘れてしまった「忘れ物」なのですが


自由詩 忘れ物 Copyright Kazu. 2009-11-04 15:27:02
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