下呂小唄
田園


己かわいさに泣くよりも
口を結んで仕事しな

そおすりゃ
田舎の母さまに
粋な便りも書けるだろうし

まんまるお月様登る国で
ぶくぶく溺れる事もなし

貴方十五の夏なれば
私は十も違うだろ
もう過ぎた日の灼熱と
言う間もなくて脂ぎる
今に追われて私あり
この足場にて廻ります

細い息吐き
顔覆う
呆然地獄のさたなりて
意味の分からぬ歌唄う
シュルレアリスムに酔っぱらう


もう戻れない
戻らない
腹を切るのは侍と
決まっているか小刀を
構えて私はただ生きる

煩い蠅よ
太陽よ
全て全てが熱をもつ
もんどりうって絡み付く
糸はいつしか人の綱と
姿を変えて天に行く
はい上る餓鬼どもの生きざまは
彼方の溜め息も聞こえない


自由詩 下呂小唄 Copyright 田園 2009-11-04 14:08:50
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