きみはほうき星の足跡
あ。
冷たくなってきた風に漂って
きみは何処を向いているのですか
田んぼの脇に咲くススキ
あでやかな花に囲まれて
色づく葉っぱに包まれて
それでも自らの身体を染めることはなく
華やかな色を持たないきみは
ほんの少し背伸びをしていて
なだらかな流線型を揺らしていて
だからその存在を忘れないのかもしれない
流星群が観測されたのはいつだったっけ
空からぽろぽろとこぼれおちる幾多の星の
儚く光る軌跡は驚くほどに流線型で
柔らかくしなやかな形をえがいていた
きみは知ってた?
消えてしまうには勿体無い星の足跡は
誰にも内緒でころりと落っこちていて
やがて芽吹いて空へのびて
身体に閉じ込めて咲いてるって
それがね、きみなんだ
真実なんて今はどうでもいい
秋の夜長の夢語りを、聞いてよ
まだ続きはあるんだ