秋の薔薇
西天 龍

色が死んでいく季節の中で
鮮やかに咲く秋の薔薇
何故それほどに、と
数え切れぬほど問われたけれど
同じ夏と冬の狭間でも
身を切られたことがない人たちに
その違いは決して分からない

その色を敢えて喩えれば
敢えて喩えれば・・・
止めておこう、それを言ったとて
恨み尽くした化け物と笑われるだけ
秋の薔薇は般若の面
季節のさえ味方につけられず
思いが凍りついた色

同じ夏と冬の狭間なのに
私は今しか咲けない
こんな色しかまとえない
赤でもなく、黒でもなく
見る者を慄然とさせる
そんな色しかまとえない
私は秋の薔薇


自由詩 秋の薔薇 Copyright 西天 龍 2009-11-03 22:56:33
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