抜くひと
恋月 ぴの

気付かない振りしてるだけで
わたし、とっくに気付いているんだ

夕食後の洗い物とかしている最中
わたしのバッグのなかを探っているのを

縁起良いからと買い求めたガマグチから小銭抜いたでしょ

タバコはやめたんだし
パチスロとか賭け事に使うにしては小銭過ぎる

もしかするとわたしのガマグチ
おかあさんのお財布代わりなのかな

おかあさんから愛情たっぷり注いでもらっていた筈なのに
いつまでも乳離れしきれなくて
お小遣いだって使い切れないほど与えられても

こっそりとおかあさんのお財布から小銭抜いては駄菓子屋に駆け込んでた

幼い手では抱えきれないほどの駄菓子を買い込んだのに
心に空いた小さな穴を満たすことは叶わなかった

どうしてなんだろうね
それって永久に変わらない、変えようがないってことなのかな

あなたのこと大好きで
わたしだって心の弱い人間だし
パート、来週いっぱいで打ち切られたことさえ打ち明けられずに

今年はじめての木枯らし、ぴゅうっと


そんな闇夜に吹き抜ける




自由詩 抜くひと Copyright 恋月 ぴの 2009-11-03 18:41:03縦
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