いつか
あらら

いつか
音は
静けさに
消え入り
香りも
宙に失せ
色は褪せ
光沢はくすみ
そして
形も崩れる

いつか
一杯の酒は
飲み干され
グラスにも
ひびが入り
砕け粉々となり
花は萎れ
枯れてゆき
そして
夜も
明ける

いつか
雪は
溶け
水は
乾き
雲は
空のかなた
そして
やがて星も
塵となる

いつか
心は
移ろい
思いは
忘れ去られ
そして
言葉も
名付けようのない
沈黙の中に
途切れる

いつまでも
変わらずに
残り続けるもの

それは
あらかじめ
そんなものは
ある筈ないと知りつつ
そうとしか
思えないものを
求めつづける
人々の心と
その心を
覆う悲しみ


自由詩 いつか Copyright あらら 2009-11-03 17:39:12
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