工場見学
オノ
お父さんが忘れていった弁当箱を
お父さんの働くベーコン工場に
持って行くことになったボビーくん。
目立つようにとお母さんから真っ赤な帽子を被せられたけど、
工場の中は機械だらけで、やっぱり迷ってしまいそう。
ボビーくんはきょろきょろしながら床に書かれた矢印に追っていく。
「ここで手と足を洗ってください。」
注意書きの看板。
ボビーは手だけ洗った。ブーツを脱ぐのが面倒だったから。
「ちゃんと手足を洗いましたか?」
「出入り口が小さいですから、一列に並んで。」
注文の多い工場だな、とボビーくんは思う。
ボビーくんは、矢印の示すまま、かがまないと頭がぶつかる
ように低いトンネルや、動く歩道を渡って、まったく工場の
不思議なおかしさに興奮してしまった。
「ここであおむけになって下さい。」
ボビーくんは、わくわくしながら、トンネルに吸い込まれていった。
弁当を待っていたお父さんは、コンベアを流れてくる
ベーコンの塊に乗っかった、見覚えのある赤い帽子を
手にとってこう叫んだ。
「ボビーのやつ、豚用の標識を読んでしまったんだな!」